スタートアップ
Synspective——小型SAR衛星による地球観測データ提供と解析ソリューションの展開である。
該当する宇宙スキル標準
ポイント解説
- 1.衛星で地表を透視し、変化を数値化する。
- 2.累計1億8733万ドルを調達し、三菱商事や野村証券と連携してインフラ監視の自動化を推進する。
- 3.SSS No.08明記・建設コンサルタントから衛星データ解析エンジニアへの転身経路が確立されている。
Synspectiveは小型SAR衛星「StriX」を開発・運用する日本企業。累計1億8733万ドルの資金を背景に、地球観測データと解析ソリューションをグローバルに展開。

Synspectiveは、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発と、それらを用いたデータ解析ソリューションを提供する日本発の宇宙スタートアップである。2018年2月に、内閣府の革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を社会実装することを目的に設立された。同社は、従来の大型SAR衛星に匹敵する性能を維持しつつ、重量を100kg級にまで小型化することに成功した。これにより、製造コストの低減と打ち上げの柔軟性を確保している。
コア技術とプロダクト
コア技術である小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」シリーズは、太陽電池パネルと一体化した大型の展開アンテナを特徴とする。SARは自ら電波を照射し、その反射を測定することで地表を観測する。この仕組みにより、光学衛星では困難な夜間や雲の下の観測が可能となる。同社は2020年12月に初の実証機「StriX-α」を打ち上げ、その後「StriX-β」、「StriX-1」、「StriX-2」と順次軌道投入に成功した。これらの衛星により、高頻度な地球観測コンステレーション(衛星群)の構築を進めている。
また、同社は衛星データの提供に留まらず、解析ソリューションの提供に注力している。主要な製品として、地盤変動をミリメートル単位で解析する「Land Displacement Monitoring(地盤変動モニタリング)」がある。これは、干渉SAR(InSAR)技術を用いることで、広域なインフラや建設現場の安全性をリモートで監視するものである。さらに、浸水被害を迅速に把握する「Flood Damage Analysis(浸水被害解析)」や、森林資源を管理するソリューションも展開している。
資金調達と投資家
資金調達については、2024年6月にシリーズCラウンドにおいて4666万ドル(70億円)の調達を実施した。このラウンドには、三菱商事、野村ホールディングス、JICベンチャー・グロース・インベストメンツなどが参加した。累計調達額は1億8733万ドル(281億円)に達しており、これは日本の宇宙スタートアップとして最大規模の部類に入る。調達した資金は、衛星の量産体制の構築や、グローバルな販売網の拡大に充てられる。
競合環境
競合環境において、SynspectiveはフィンランドのICEYEや米国のCapella Spaceと直接競合する。ICEYEは世界最大の小型SAR衛星コンステレーションを既に運用しており、観測頻度において先行している。一方、Synspectiveはデータ解析ソリューションを垂直統合型で提供することで差別化を図っている。つまり、単なる画像販売ではなく、顧客の意思決定に直結するインサイトを提供することに重きを置いている。
日本市場との関連
日本市場との関連では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究や、国土交通省の「SBIR(中小企業技術革新制度)」への採択など、政府機関との連携が極めて強い。また、三菱商事との業務提携を通じて、エネルギーやインフラ分野での衛星データ活用を推進している。さらに、地方自治体との協力により、災害時の迅速な状況把握や、老朽化したインフラの効率的な点検手法としての導入が進んでいる。
出典
- Synspective公式サイト「Series C Funding Press Release」(2024年6月)
- Synspective公式サイト「StriX-2 Launch Success」(2024年3月)
- 内閣府 ImPACTプログラム 成果報告資料
掲載元:Synspective(Synspective 分析) · 参照リンク
推定読了 3 分
この記事を読んだ方へ
記事を読んだ手がかりを、自分のスキルに接続する
宇宙スキル標準に沿ったAI診断で、経歴の位置づけを可視化。