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インフォステラ、地上局シェアリングで衛星通信の効率化を推進

Deep Space 編集部4分で読了

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ポイント解説

  • 1.地上局という物理インフラの「所有」を「利用」へと転換し、宇宙ビジネスの参入障壁をソフトウェアで解消するシェアリングエコノミーの体現。
  • 2.AirbusやSonyといった戦略的投資家を巻き込み、ハードウェアの制約を超えたグローバルな通信網をAPI一つで提供できる点が最大の資産。
  • 3.宇宙ビジネスのインフラ層を担うSSS No.12(宇宙DX)の代表格であり、グローバルな事業展開と高度なエンジニアリングが融合する稀有な環境。

インフォステラは衛星地上局のシェアリングプラットフォーム「StellarStation」を展開。JAXA発の技術とAirbus等からの資金調達で、宇宙通信の低コスト化を実現する注目の宇宙スタートアップを詳細解説。

企業概要

創業の背景とミッション

株式会社インフォステラ(Infostellar)は、2016年に倉原直美氏らによって設立された、世界初の地上局シェアリングプラットフォームを提供する宇宙スタートアップである。衛星運用の世界では、衛星からデータを取得するための「地上局(アンテナ)」の確保が大きなボトルネックとなっていた。衛星が地上局の上空を通過する時間は1日の中で極めて限定的であり、自社で地上局を建設しても稼働率は低く、一方で他社の地上局を借りる手続きは煩雑であった。倉原氏はJAXAや東京大学での研究を通じ、この「地上局の非効率性」が宇宙ビジネス拡大の障壁であると痛感し、地上局の空き時間をシェアする「StellarStation」の構想に至った。

同社のミッションは「We connect Earth and Space」であり、衛星通信をインターネットのように誰もが簡単に利用できるインフラへと変革することを目指している。物理的なアンテナを自社で大量保有するのではなく、世界中に点在する既存の地上局をソフトウェアでネットワーク化する「アセットライト」なアプローチが特徴である。

経営陣

代表取締役の倉原直美氏は、九州工業大学で博士号を取得した衛星地上システムの専門家である。JAXAや東京大学での実務経験を経て起業した、技術と現場を熟知した経営者として高く評価されている。また、共同創業者にはGoogle出身の石丸健太郎氏(現在は退任)などが名を連ね、宇宙工学とIT・プラットフォームビジネスの知見を融合させた組織体制を構築してきた。

コア技術とプロダクト

技術概要

インフォステラのコア技術は、異なる仕様を持つ世界中の地上局アンテナを仮想的に統合し、共通のインターフェースで制御可能にするソフトウェア技術である。中心となるのは、地上局側に設置される「StellarStation Agent」である。これにより、アンテナの指向制御、周波数の切り替え、データの復調といった複雑なプロセスを自動化し、クラウド経由で衛星運用者に提供する。衛星運用者は、ウェブブラウザ上のダッシュボードから、世界中の地上局の空き時間を検索し、数クリックで通信パスを予約できる。

プロダクトライン

主力製品である「StellarStation」は、衛星運用者向けと地上局オーナー向けの2つの側面を持つ。運用者に対しては、世界規模の地上局ネットワークへの即時アクセスを提供し、通信機会の最大化とコスト低減を実現する。一方、地上局オーナーに対しては、自社運用の合間に発生する非稼働時間を他社に貸し出すことで、設備投資の回収を早める収益化手段を提供する。この双方向のマーケットプレイス機能が、同社のプラットフォームの核となっている。

資金調達と投資家

調達ラウンド

インフォステラは、これまでに累計で約32億円(約2,200万ドル)の資金を調達している。2017年のシリーズAラウンドでは、欧州エアバス傘下のAirbus Venturesがリード投資家となり、日本のスタートアップとして初めて同社からの出資を受けたことで国際的な注目を集めた。2022年にはUTEC(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)をリードとするシリーズBラウンドで約13億円を調達し、グローバルな地上局ネットワークの拡大と、政府・安全保障分野への対応を強化している。

主要投資家

投資家構成は極めて戦略的である。Airbus Venturesのほか、ソニーイノベーションファンド、三菱UFJキャピタル、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、スカパーJSATなどが名を連ねる。これらは単なる資金提供者にとどまらず、エアバスの衛星製造、ソニーの通信技術、スカパーJSATの地上インフラといった、事業シナジーが見込めるパートナーとしての側面が強い。

競合環境

主要競合

競合には、米国のRBC SignalsやイタリアのLeaf Spaceといった、同様の地上局サービスを展開するスタートアップが存在する。また、近年ではAmazon Web Services (AWS) の「AWS Ground Station」やMicrosoftの「Azure Orbital」といった巨大テック企業もこの分野に参入している。さらに、ノルウェーのKSATのような老舗の地上局ネットワーク運営会社も、デジタル化を進めて対抗している。

差別化ポイント

インフォステラの差別化ポイントは、特定のハードウェアに依存しない「純粋なプラットフォーム」としての立ち位置にある。AWSやKSATが自社アンテナの利用を主軸とするのに対し、インフォステラは世界中の多様なオーナーが所有するアンテナを束ねることに特化している。これにより、特定の地域に縛られない圧倒的なカバー範囲と、多様な周波数帯への対応が可能となる。また、AWS等のクラウド事業者とは競合するだけでなく、彼らのバックエンドにインフォステラのネットワークを供給する提携関係を築いており、エコシステム内での共存を図っている。

日本市場との関連

日本拠点・提携

本社を東京に置き、日本の宇宙産業エコシステムの中核を担う。アクセルスペースなどの国内衛星スタートアップに対し、海外でのデータ受信拠点を提供することで、日本企業の海外展開を支えている。

JAXA・政府との関係

JAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」に採用されるなど、日本の公的宇宙ミッションにおける地上セグメントの標準インフラとしての地位を固めつつある。また、経済産業省の宇宙産業加速化事業(スターダストプログラム)等を通じ、安全保障分野での地上局ネットワーク活用についても政府との連携を深めている。

掲載元:Infostellar 分析 · 参照リンク

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