主要

Artemis II、54年ぶりの有人月周回飛行に成功——距離記録も更新

NASA

ポイント解説

  • 1.半世紀ぶりの有人深宇宙飛行の成功は、月経済圏の商業化に向けた不可逆的な転換点である
  • 2.NASAのArtemisプログラム全体の予算は930億ドル超(GAO推計)に達する。Artemis IIの成功により、Artemis IIIの月面着陸(2027年予定)が現実味を帯び、ゲートウェイ(月軌道ステーション)建設への投資判断が加速するとみられる
  • 3.SSS No.9(プロジェクト統合マネジメント)を有する人材は、日本のArtemis参画プロジェクト(ルナクルーザー・ゲートウェイ補給等)で即戦力となる

NASAのArtemis IIが4月1日に打ち上げ、54年ぶりの有人月周回飛行に成功。アポロ13号の距離記録を更新し10日間で帰還。Artemis III月面着陸への技術実証完了

米航空宇宙局(NASA)は2026年4月1日、有人月周回ミッション(月を周回するだけの飛行で、月面には着陸しないミッション)「Artemis II」を打ち上げた。アポロ17号(1972年)以来、約54年ぶりに人類が月の近傍に到達した歴史的飛行である。乗組員4名は10日間の飛行を経て、4月10日に太平洋上へ無事帰還した。

乗組員と飛行概要

ミッションを率いたのはリード・ワイズマン船長。パイロットにビクター・グローバー、ミッションスペシャリストにクリスティーナ・コック(以上NASA)、ジェレミー・ハンセン(カナダ宇宙庁)が搭乗した。SLS(Space Launch System:NASAが開発した超大型ロケット)ロケットにより、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

乗組員は地球から最大40万6,771km(約25万2,756マイル)まで到達した。NASAの発表によると、1970年のアポロ13号が保持していた有人飛行の最遠記録を更新した。総飛行距離は約112万km(約69万5,081マイル)に達した。

技術検証の成果

Artemis IIは、月面着陸を目指すArtemis IIIに向けた重要な技術実証ミッションだ。オリオン宇宙船の生命維持装置(宇宙飛行士が宇宙空間で生存するための空気や水、温度などを供給・管理するシステム)、航行システム(宇宙船の位置や速度を正確に把握し、目的地へ誘導するためのシステム)、耐熱シールド(大気圏再突入時の高熱から宇宙船と乗組員を守るための保護材)が有人環境で初めて検証された。NASAの報告では、帰還時のスプラッシュダウン(宇宙船が海に着水する方式)は「教科書通り」と評価されている。

日本への波及効果——月面探査参画の加速

日本はArtemisプログラムにおいて、月面与圧ローバー(月面で宇宙飛行士が内部で活動でき、外部の環境から保護される密閉された移動車両)の開発を担う。トヨタ自動車とJAXAが共同開発する「ルナクルーザー」は、2030年代の実用化を目指す。Artemis IIの成功により、日本人宇宙飛行士の月面着陸を含むArtemis計画全体の推進力が増した。三菱重工業やIHIなど、国内サプライチェーン(製品やサービスが消費者に届くまでの、原材料の調達から製造、物流、販売までの企業連携の連鎖)への波及も見込まれる。

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**出典**: NASA — NASA's Artemis II Crew Eclipses Record for Farthest Human Spaceflight — 2026年4月7日

**関連する宇宙スキル標準(SSS)**: No.9(プロジェクト統合マネジメント)、No.24(システムズエンジニアリング)、No.165(宇宙環境・宇宙生命維持)

掲載元:NASA · 参照リンク

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